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No.77 節税対策でマンション選び

No.77 節税対策でマンション選び

「私のお友達がMマンションに住んでいるんだけど、最近新築の高級マンションの勧誘が凄いんですって」Mマンションそのものも高級マンションなのだけど。「投資にどうですか、ということみたい」ああ、なるほど。「あそこはお医者様が多いから」Mマンションは昨年出来上がった高級賃貸マンションで、設備が分譲並みだと話題になったこともある。

「タワーマンションも売れているらしいし、有るところには有るのよね」「医師や弁護士やね。で、投資してますます儲かる」私たちはホテルのケーキバイキングを楽しんでいた。パート仲間との、ささやかなお楽しみだった。「お友達のご主人も内科医だし。でも彼女自身は気乗りしてないみたい。もうバブルの頃のようなことはないし、選びを間違えると大変だからって」それはよく分かる。最近は空家問題が顕在化してきているし、土地の価格も値下がりしてきているからだ。もちろん場所によっては価値が上がっている所もあるけれど。

「でね、彼女が言うには、節税対策には有効かもしれないって。折りを見てご主人に相談してみるって言ってたけど、有れば有ったで悩みは尽きないものなのね」本当にね、節税対策で頭を悩ませてみたいものだと本心から思う。「家の悩みは、どうやって教育費を捻出していくかってことだわ」私たちは顔を見合わせて笑みを交わしたものだった。

そのことを主人に話すと、苦笑していた。「まあでも、彼らは命を預かっているわけだからなあ。緊急事態には呼び出されたりもするんだろうし。節税したくもなるだろうよ」スウェットに着替えた主人は、寛いで言った。「いくら稼いでいようが、払うものは少なくしたいと思うのは人情だ」食事を摂る主人を横目で見ながら、私はお茶を淹れる。「それよりも俺が忙しく働いている間、お前は女友達とケーキバイキングかよ」そういう目は笑みを浮かべていたけれど。ヤブヘビって、こういうことを言うんだなぁ。